◆各種設定ごった煮注意
解説があるものは先にご確認ください
あのね。これは絶対に秘密にしてね。あなただけに言うんだから。特別よ。
内緒には「特別」な甘さを添えてこっそり囁くのが秘訣。最初の期待値を上げすぎてはいけないなんて、間抜けの言い訳。誰だって自分だけと言われたら、それだけでとっておきの秘密に見えてくるものなのに。優越感に目を眩ませて、簡単に踏み越えてくれるのよ?絶対に踏み越えないと決めていたラインをね。誰だって簡単。
特別な秘密を聞いた人達は、「私だけが知っている」とあちこちで内緒話を囁き、あっという間に里中へ広まった。思った通りになったけど、困らせてしまったのは少し哀しい。嘘。たくさん嬉しい。
「嘘を言うのはやめてくれ」
「嘘は言ってないもん」
「あの噂を流したのはお前だろう?」
「見たんだもの」
「見てない」
「見たわよ。いつも窓から入ってくるの?」
唇をかんで黙り込んで。眉間に刻まれた皺を撫でてみたいなあって思う。胸が痛む理由に私が含まれてるなんて最高なんだけど。
緩みそうになる頬にキュッと力を入れ、頑張って口角を下げる。困った顔をしていなきゃ本気に思ってくれないから。しょうがないって分かってるけど、私だってどうにもならない。
先生の内緒、教えてくれたら引き下がるよって言ったのに首を振るからいけないのよ。何度も好きだって言ったのに、笑いながら「ありがとう」なんて流してくれちゃって。笑顔だったのがいけなかった?泣きながら言った方が真実味がある?だけどそんなの嘘くさい。可愛い顔で好きって言いたいし、笑顔を覚えててほしいじゃない。
本当はいっつも泣きそうなくらい緊張してた。足が震えるのを必死で堪えてた。それでも頑張った。だから余計許せない。
本当を教えてくれないと信じられないの。本気で答えてくれないと許してあげられないの。だから噂を流した。
『イルカ先生には恋人がいるのよ。放課後の教室でキスしてるの見ちゃった』
あの先生が!?って反応は想定内。イルカが……って人もいると思ってた。だけど。
「恋人なんていない」
「そんなこと言っていいの?」
「……恋人じゃないんだ」
嘘じゃなく本当に口角が下がった。もし先生が本当のことを言ってくれたら、教えてあげようと思ってたのに。やっぱりそんなことを言う。
「私、先生が悪いと思うよ」
「え?」
「俺もそう思う」
ビックリして振り返ったら、入り口の戸にはたけ上忍が寄りかかってた。音も気配も無く、さすが里一番の忍だなって思うけど、それが良くない。そのせいだって分かってるくせにやるんだから、あの人も良くない。
「私が直接話したのは二人だけよ。一人はビックリした顔してすんごい興奮してた。もう一人は一瞬嬉しそうにしたのに、すぐ無表情になった。誰だか分かる?」
驚いた顔をした先生は、はたけ上忍を見た。ばつが悪そうに先生の視線を避ける横顔を見て、やっぱりあんたも悪いでしょってお腹がムカムカする。
「好きなら好きでちゃんとしてよ。恋人なんていないとか言ってたら期待するでしょ。大事にしないなら奪ってやると思うでしょ。私だって好きなんだから!」
「大事にしてるつもりだけど、それ以上に大事に思われててどうしたらいいか分からないだけだよ。俺も好きなんだから」
「カカシさん!」
「本当だよ」
「じゃあ肩身の狭い思いさせないでよ」
「これからは堂々と人前でイチャつくようにする。いいよね?」
「いいわけないです!」
「先生が内緒にしたいって言うから忍んでたんだよ。なのに余計な虫はぶんぶん飛ぶわ隠そうとするあまり、恋人じゃないなんて言うわで散々じゃない」
「乙女を虫呼ばわりする無神経さが先生を追い詰めてるんじゃないの?」
「ちょっ、二人とも」
慌てたように私の前に立って目つきの悪い男の視界を遮った。そういう態度も、良くないのよ。
「…………好きな人が、いる。その人と付き合ってる」
「うん」
「ごめん」
ゆらりと視界が揺れて、もういいよと自分に言った。潤み始めた瞳はすぐに涙を抱えきれなくなりぽろぽろと溢れ始める。
「先生、私先生の笑顔が好き。だから笑ってて。あの無神経で器用そうなのに不器用でスペックは上等そうなのにイマイチ信用しきれない男でも、先生が好きならしょうがないもん。言ってた通り、これで最後にする」
「ちょっと」
「カカシさん」
首を振る先生の向こうからイライラとした雰囲気が伝わってきてざまあみろって思う。
先生は優しい。元教え子を無碍に出来なかったり、里の有名人に迷惑をかけまいとしたり、誰にでも優しい。優しすぎて残酷なの。今だって困ったように笑いながら涙を拭いてくれる。その指先が触れる先は私じゃないはずなのに。
「公然とイチャイチャするんでしょ?ここでキスしたら」
「お前無茶言うな」
先生の胸を両手で押す。真後ろに来ていたはたけ上忍が、押されてもたれかかる先生のお腹に腕を回して抱き寄せた。焦って真っ赤になる先生すっごく可愛い。そんな顔見たこと無い。だからしょうがない。
諦めに笑いが浮かんで一層涙が溢れた。いつも笑ってた私の笑顔、きっと先生は忘れない。だけど頑張って作ってた笑顔よりも、この泣き顔を覚えててくれたらいいんだけどなあ。絶対に言わないけど。これは一生の秘密。
2021/11/21
内緒には「特別」な甘さを添えてこっそり囁くのが秘訣。最初の期待値を上げすぎてはいけないなんて、間抜けの言い訳。誰だって自分だけと言われたら、それだけでとっておきの秘密に見えてくるものなのに。優越感に目を眩ませて、簡単に踏み越えてくれるのよ?絶対に踏み越えないと決めていたラインをね。誰だって簡単。
特別な秘密を聞いた人達は、「私だけが知っている」とあちこちで内緒話を囁き、あっという間に里中へ広まった。思った通りになったけど、困らせてしまったのは少し哀しい。嘘。たくさん嬉しい。
「嘘を言うのはやめてくれ」
「嘘は言ってないもん」
「あの噂を流したのはお前だろう?」
「見たんだもの」
「見てない」
「見たわよ。いつも窓から入ってくるの?」
唇をかんで黙り込んで。眉間に刻まれた皺を撫でてみたいなあって思う。胸が痛む理由に私が含まれてるなんて最高なんだけど。
緩みそうになる頬にキュッと力を入れ、頑張って口角を下げる。困った顔をしていなきゃ本気に思ってくれないから。しょうがないって分かってるけど、私だってどうにもならない。
先生の内緒、教えてくれたら引き下がるよって言ったのに首を振るからいけないのよ。何度も好きだって言ったのに、笑いながら「ありがとう」なんて流してくれちゃって。笑顔だったのがいけなかった?泣きながら言った方が真実味がある?だけどそんなの嘘くさい。可愛い顔で好きって言いたいし、笑顔を覚えててほしいじゃない。
本当はいっつも泣きそうなくらい緊張してた。足が震えるのを必死で堪えてた。それでも頑張った。だから余計許せない。
本当を教えてくれないと信じられないの。本気で答えてくれないと許してあげられないの。だから噂を流した。
『イルカ先生には恋人がいるのよ。放課後の教室でキスしてるの見ちゃった』
あの先生が!?って反応は想定内。イルカが……って人もいると思ってた。だけど。
「恋人なんていない」
「そんなこと言っていいの?」
「……恋人じゃないんだ」
嘘じゃなく本当に口角が下がった。もし先生が本当のことを言ってくれたら、教えてあげようと思ってたのに。やっぱりそんなことを言う。
「私、先生が悪いと思うよ」
「え?」
「俺もそう思う」
ビックリして振り返ったら、入り口の戸にはたけ上忍が寄りかかってた。音も気配も無く、さすが里一番の忍だなって思うけど、それが良くない。そのせいだって分かってるくせにやるんだから、あの人も良くない。
「私が直接話したのは二人だけよ。一人はビックリした顔してすんごい興奮してた。もう一人は一瞬嬉しそうにしたのに、すぐ無表情になった。誰だか分かる?」
驚いた顔をした先生は、はたけ上忍を見た。ばつが悪そうに先生の視線を避ける横顔を見て、やっぱりあんたも悪いでしょってお腹がムカムカする。
「好きなら好きでちゃんとしてよ。恋人なんていないとか言ってたら期待するでしょ。大事にしないなら奪ってやると思うでしょ。私だって好きなんだから!」
「大事にしてるつもりだけど、それ以上に大事に思われててどうしたらいいか分からないだけだよ。俺も好きなんだから」
「カカシさん!」
「本当だよ」
「じゃあ肩身の狭い思いさせないでよ」
「これからは堂々と人前でイチャつくようにする。いいよね?」
「いいわけないです!」
「先生が内緒にしたいって言うから忍んでたんだよ。なのに余計な虫はぶんぶん飛ぶわ隠そうとするあまり、恋人じゃないなんて言うわで散々じゃない」
「乙女を虫呼ばわりする無神経さが先生を追い詰めてるんじゃないの?」
「ちょっ、二人とも」
慌てたように私の前に立って目つきの悪い男の視界を遮った。そういう態度も、良くないのよ。
「…………好きな人が、いる。その人と付き合ってる」
「うん」
「ごめん」
ゆらりと視界が揺れて、もういいよと自分に言った。潤み始めた瞳はすぐに涙を抱えきれなくなりぽろぽろと溢れ始める。
「先生、私先生の笑顔が好き。だから笑ってて。あの無神経で器用そうなのに不器用でスペックは上等そうなのにイマイチ信用しきれない男でも、先生が好きならしょうがないもん。言ってた通り、これで最後にする」
「ちょっと」
「カカシさん」
首を振る先生の向こうからイライラとした雰囲気が伝わってきてざまあみろって思う。
先生は優しい。元教え子を無碍に出来なかったり、里の有名人に迷惑をかけまいとしたり、誰にでも優しい。優しすぎて残酷なの。今だって困ったように笑いながら涙を拭いてくれる。その指先が触れる先は私じゃないはずなのに。
「公然とイチャイチャするんでしょ?ここでキスしたら」
「お前無茶言うな」
先生の胸を両手で押す。真後ろに来ていたはたけ上忍が、押されてもたれかかる先生のお腹に腕を回して抱き寄せた。焦って真っ赤になる先生すっごく可愛い。そんな顔見たこと無い。だからしょうがない。
諦めに笑いが浮かんで一層涙が溢れた。いつも笑ってた私の笑顔、きっと先生は忘れない。だけど頑張って作ってた笑顔よりも、この泣き顔を覚えててくれたらいいんだけどなあ。絶対に言わないけど。これは一生の秘密。
2021/11/21
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