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中夜 9/16 01:47

 なんだか妙に息苦しい。
 目を開いたが真っ暗で何も見えず、起こそうとした体を強く押さえられた。柔らかい肌に顔が埋まり、そうだったと思い出す。カカシさんの胸の内にすっぽりと囲われて、頭の先まで布団をかけられているらしい。篭った熱気が不快で起きてしまったのだろう。顔だけでも出そうと身動ぎする体を宥めるようにぽんぽんと叩かれる。
「カカシさん苦しいです」
「しーっ。まだ起きる時間じゃないよ」
 とろとろと伸びる声はまだ目覚めてない証拠だ。そのわりに両手でしっかりと抱きかかえられて動けない。
 行儀が悪いのを承知で自由になる膝下を使い布団を跳ね上げた。少し息をしやすくなった所で、左足の親指と人差し指を思い切り突っ張る。触った布団を指の間で挟み引きずり下ろした。
 顔が出たのは良かったが、勢い余って胸の辺りまで下がってしまった。もう裸で寝られる時期じゃない。このままでは風邪をひく。
「もー。しーって言ったでしょう。起きちゃった」
「あんたががっちり抱え込んでるからでしょうが。こっちは息できなくて目が覚めました」
「そっか。それはごめんね」
 よいしょと引っ張った布団は肩をすっぽり包むように巻きつけられた。おやすみと頭の天辺へ落とされた唇に眠りの気配。待ってくれと背中に回した手で揺さぶる。
「カカシさん肩出てるじゃないですか。風邪ひきますよ」
「んー?これくらい平気」
「ダメですって。ほら服着て」
「ヤだ。そんな勿体ないこと出来ないでしょ」
 同棲を始めて一年だ。なのにこの人は未だにそんなことを言っているのか。
 眠気も相まって言うことは聞いてくれなさそうだ。体を半分起こし、頭の下にあった腕を強引に下ろした。空いた部分を埋めるように横たわる。
「これならいいでしょう。二人とも肩まですっぽり」
「腕枕はしたいけど、すぐキス出来る位置だからヨシとします」
「何言ってんだ」
 んふふと笑うので両目に一つずつ口付けを落とす。
「開けちゃだめですよ。そのまま瞑ってて」
「ん。おやすみなさい」
 眠りの挨拶と共に伸びてきた腕が背中へ回る。抱き寄せるのは変わんねえのかと思いつつ、背中の温もりに目蓋が重い。寒くないしまあいいかと落ちるに任せた。きっと、今夜も彼の夢を見る。
2021/09/15(水) 17:33 記念日 COMMENT(0)
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