◆各種設定ごった煮注意
解説があるものは先にご確認ください
珍しいこともあるもんだと頷いたが、安請け合いはするものでは無い。
ふるふると揺れる握った拳を渾身の力を込めて睨み付ける。出るな。絶対出るな。三だけは出るな!
「はい、あがり」
とんとんとんっとコマが進み、カカシ先生がゴールした。
あり得ない。サイコロの目がこんなに偏るなんてありえねえわ!
「イッイカサマだー」
「先生、いちゃもんつけるならもっと堂々とやってくださいよ。罰ゲームは先生ですね」
つんつんと突かれた俺のコマはゴールよりも遙か遠く、二、三回振ったくらいじゃあがれないだろう。
分かってる、負けを認めるしかない。降参と両手を挙げた俺に頷いて、コマを突いていた指先がマス目を数え始める。
「二十一、二十二……二十七。結構差がつきましたね」
「イカサマを疑ってもやむなしと思えません?」
「まあまあ。はい罰ゲーム。これは何でしょう」
傍に置いてあったポーチを探り、中から一本の小瓶を取りだした。中には真っ赤な液体が入っていて、どう見ても。
「……何でしょう」
「マニキュアですよ。じゃあね、今から先生の指をこれで塗っていきますね」
はいと向けられた手はさあ載せろと主張しているが、頭の整理が追いつかない。
罰ゲームがマニキュアなんていつ決まった?そもそも何でこの人はそんなもん持ってるんだ。
なにより気になるのは、その使いかけのマニキュアは誰の指を彩ってきたんだろうか。知りたくないけど、ぐっと握る手には力が入る。
「いい色でしょ。紅からもらったんです。そうだなあ、残りマスは二十七あるし……。とりあえず両手足塗っときますか」
「罰ゲームって普通、酒を買いに行くとかだと思いますが。どうしてカカシ先生がマニキュアを」
「先生を自分の手で染めたかったから」
「……え?」
小さな疑問に答えてくれる気はないらしい。ぐいと引かれた手が立てた膝の上に載せられて、そうなったらもう、諦めるしかなかった。
こんな小さな筆でこうも器用に。滑らかな筆の動きに感心して思わず見入ってしまった。するすると動く紅は、あっという間に左手の薬指を真っ赤に染めた。
大きくて無骨な手の中で、そこだけが鮮やかな花を咲かせたよう。カカシ先生に染められた指先は、純粋に美しかった。
「すごい……器用ですね」
「うん?んー……」
生返事をしながらも目はずっと指先に向けられたままだ。隣の小指を持つと、今度はさっきよりも筆を細かく動かして絵を描き始めた。
真っ赤に塗られた薬指の隣で小さなハートが浮かんでいる。
「うん、こっちにしよう。先生にハートを二十七個」
ひとり頷いて、今度は中指に同じようなハートを描いた。塗られたこちらは出来映えに目を奪われていたが、塗った本人はお気に召さなかったらしい。
カカシ先生は楽しくなってきたのか、どんどん握る指を変え、全てにハートを描いていった。正直、爪の上にぽかんと浮かぶハートは間抜けに見えて、全てを真っ赤に塗られた薬指の方がキレイに見える。
丁寧に塗るのがめんどうで変えたのかと思いきや、ハートを描くのにもかなり神経を注いでいるようだ。どこら辺に違いがあるのだろうか。
「はい」
「……はい」
立て膝を胡座に変え、今度は左足を上に載せた。
足を他人に任せるというのはなんともむず痒く、不思議な気持ちだ。カカシ先生はあっという間に一本描き終えて少し考えるような表情をしていたが、さらに細かく筆を動かし始めた。
「どうです?」
「そんな狭い所に二つ?カカシ先生は何をしても器用なんですね」
「全然器用じゃ無いですよ。どうすればいいか分からないことばかりだ」
俺の手と足にたくさんのハートが浮かんでいる。意味分からんと思っていたが、真っ赤なハートを見ていると少し楽しくなってきた。
気分が上がるっていうのはこういうことかもしれない。右足の親指の上で三つのハートが浮かんでいるのを見たら、思わず笑いが溢れた。
中指へ移ろうとしていた筆がピタリと止まる。しばらく迷うように停止していた筆はハートを描くことなく、そのまま瓶へと戻されてしまった。
「どうしたんですか」
「面白くない」
「え?」
急にぐいと足を持ち上げられて体勢が崩れる。腰の横に両手をつき、辛うじて倒れるのを堪えた。角度が変わった視界の隅で、カカシ先生が口布を下ろすのが見える。
「えっ?カっ……!!」
初めて見た唇は持ち上げていた俺の足へ寄せられた。チリッとした痛みが走り、全身に力が入る。
ふたたび軽い痛みがくるぶしを焼いた。振り解いて起き上がろうとしても、取られた足を捻られて力が入らない。
「二つ重ねたらハートになりましたよ」
痛みを感じた踝の上を指先が撫でた。その下にあるものを想像して全身が熱くなる。指が動きを変え、手のひら全体が足首を掴んだ。
するりと裾から忍び込んだ手が膝まで剥き出しにして、反射的に体が縮む。俺の反応を確かめるように、ゆっくりとカカシ先生の顔が近づいていった。
「なんで……もうやめて、いっ」
さっきよりも強い痛みが膝に走る。たまらず振り上げた手を取られ、今度は手首の内側を吸われた。
さほど白くない手首の上に浮かぶ赤が、俺の目にもはっきりと見える。
「あと何個つけたらあなたは俺のものになる?どうしたらその顔の奥に隠した気持ちを見せてくれるようになるの」
じっと手首を見つめていた瞳が俺を見た。平静な瞳は冷たくさえ映るが、掴む手にこめられた力が胸の内を注ぎ込んでくる。
「……カカシ、さん」
掴まれた手首から撥ねた心臓の音が伝わってきた。徐々に大きくなる瞳にゆっくりと背中を床につけた。覆い被さる彼以外、もう何も見えない。
2102/07/02
ふるふると揺れる握った拳を渾身の力を込めて睨み付ける。出るな。絶対出るな。三だけは出るな!
「はい、あがり」
とんとんとんっとコマが進み、カカシ先生がゴールした。
あり得ない。サイコロの目がこんなに偏るなんてありえねえわ!
「イッイカサマだー」
「先生、いちゃもんつけるならもっと堂々とやってくださいよ。罰ゲームは先生ですね」
つんつんと突かれた俺のコマはゴールよりも遙か遠く、二、三回振ったくらいじゃあがれないだろう。
分かってる、負けを認めるしかない。降参と両手を挙げた俺に頷いて、コマを突いていた指先がマス目を数え始める。
「二十一、二十二……二十七。結構差がつきましたね」
「イカサマを疑ってもやむなしと思えません?」
「まあまあ。はい罰ゲーム。これは何でしょう」
傍に置いてあったポーチを探り、中から一本の小瓶を取りだした。中には真っ赤な液体が入っていて、どう見ても。
「……何でしょう」
「マニキュアですよ。じゃあね、今から先生の指をこれで塗っていきますね」
はいと向けられた手はさあ載せろと主張しているが、頭の整理が追いつかない。
罰ゲームがマニキュアなんていつ決まった?そもそも何でこの人はそんなもん持ってるんだ。
なにより気になるのは、その使いかけのマニキュアは誰の指を彩ってきたんだろうか。知りたくないけど、ぐっと握る手には力が入る。
「いい色でしょ。紅からもらったんです。そうだなあ、残りマスは二十七あるし……。とりあえず両手足塗っときますか」
「罰ゲームって普通、酒を買いに行くとかだと思いますが。どうしてカカシ先生がマニキュアを」
「先生を自分の手で染めたかったから」
「……え?」
小さな疑問に答えてくれる気はないらしい。ぐいと引かれた手が立てた膝の上に載せられて、そうなったらもう、諦めるしかなかった。
こんな小さな筆でこうも器用に。滑らかな筆の動きに感心して思わず見入ってしまった。するすると動く紅は、あっという間に左手の薬指を真っ赤に染めた。
大きくて無骨な手の中で、そこだけが鮮やかな花を咲かせたよう。カカシ先生に染められた指先は、純粋に美しかった。
「すごい……器用ですね」
「うん?んー……」
生返事をしながらも目はずっと指先に向けられたままだ。隣の小指を持つと、今度はさっきよりも筆を細かく動かして絵を描き始めた。
真っ赤に塗られた薬指の隣で小さなハートが浮かんでいる。
「うん、こっちにしよう。先生にハートを二十七個」
ひとり頷いて、今度は中指に同じようなハートを描いた。塗られたこちらは出来映えに目を奪われていたが、塗った本人はお気に召さなかったらしい。
カカシ先生は楽しくなってきたのか、どんどん握る指を変え、全てにハートを描いていった。正直、爪の上にぽかんと浮かぶハートは間抜けに見えて、全てを真っ赤に塗られた薬指の方がキレイに見える。
丁寧に塗るのがめんどうで変えたのかと思いきや、ハートを描くのにもかなり神経を注いでいるようだ。どこら辺に違いがあるのだろうか。
「はい」
「……はい」
立て膝を胡座に変え、今度は左足を上に載せた。
足を他人に任せるというのはなんともむず痒く、不思議な気持ちだ。カカシ先生はあっという間に一本描き終えて少し考えるような表情をしていたが、さらに細かく筆を動かし始めた。
「どうです?」
「そんな狭い所に二つ?カカシ先生は何をしても器用なんですね」
「全然器用じゃ無いですよ。どうすればいいか分からないことばかりだ」
俺の手と足にたくさんのハートが浮かんでいる。意味分からんと思っていたが、真っ赤なハートを見ていると少し楽しくなってきた。
気分が上がるっていうのはこういうことかもしれない。右足の親指の上で三つのハートが浮かんでいるのを見たら、思わず笑いが溢れた。
中指へ移ろうとしていた筆がピタリと止まる。しばらく迷うように停止していた筆はハートを描くことなく、そのまま瓶へと戻されてしまった。
「どうしたんですか」
「面白くない」
「え?」
急にぐいと足を持ち上げられて体勢が崩れる。腰の横に両手をつき、辛うじて倒れるのを堪えた。角度が変わった視界の隅で、カカシ先生が口布を下ろすのが見える。
「えっ?カっ……!!」
初めて見た唇は持ち上げていた俺の足へ寄せられた。チリッとした痛みが走り、全身に力が入る。
ふたたび軽い痛みがくるぶしを焼いた。振り解いて起き上がろうとしても、取られた足を捻られて力が入らない。
「二つ重ねたらハートになりましたよ」
痛みを感じた踝の上を指先が撫でた。その下にあるものを想像して全身が熱くなる。指が動きを変え、手のひら全体が足首を掴んだ。
するりと裾から忍び込んだ手が膝まで剥き出しにして、反射的に体が縮む。俺の反応を確かめるように、ゆっくりとカカシ先生の顔が近づいていった。
「なんで……もうやめて、いっ」
さっきよりも強い痛みが膝に走る。たまらず振り上げた手を取られ、今度は手首の内側を吸われた。
さほど白くない手首の上に浮かぶ赤が、俺の目にもはっきりと見える。
「あと何個つけたらあなたは俺のものになる?どうしたらその顔の奥に隠した気持ちを見せてくれるようになるの」
じっと手首を見つめていた瞳が俺を見た。平静な瞳は冷たくさえ映るが、掴む手にこめられた力が胸の内を注ぎ込んでくる。
「……カカシ、さん」
掴まれた手首から撥ねた心臓の音が伝わってきた。徐々に大きくなる瞳にゆっくりと背中を床につけた。覆い被さる彼以外、もう何も見えない。
2102/07/02
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