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◇さらT.のkkirには「爪先立ちの恋だった」で始まり、
「今なら伝えられる」で終わる物語を書いて欲しいです。
できれば3ツイート(420字)以上でお願いします。



 爪先立ちの恋だった。
 最初から無理だと諦めていた人が振り向いてくれたから、ただ嬉しくて。優しく笑うだけの人には応えてくれた理由も聞けず、彼の望む自分でいようと必死だった。
 おおらかで彼のすべてを受け入れる。会えなくて淋しいとか、今日は辛くて笑えないなんて言わない。
 どんな時も彼を忘れず、一緒にいても気を抜かず。「はい」と言われた時の自分でいれば、傍にいても許されると信じていた。
 そうするうちにお互いの気持ちが重なったらなんて、希望を持っていたのはいつまでだっただろう。優しくされればされるほど心が軋んだ。懸命に立てた爪先じゃ、いつまでも支えられない。
 俺は自分自身に苦しくなって逃げ出した。彼を巻き込んでおいてひとりで勝手に幕を引き、そのくせ悲しくて堪らない。
 こんな思いをさせるなんてと苛立ちが浮かび、さらに失望した。恋に不器用なだけでなく、彼に八つ当たりまでするとは。自分はもう少しマシなやつだと思っていた。

 ぐしゃぐしゃになって暗い部屋の中で座っていたら、誰かがドアを叩いた。玄関まで出ると、ドアの向こうから彼の気配を感じた。
「……何しに来たんですか」
「恋人に会いに」
 思わず開けたドアの向こうに、いつものように笑う彼が立っている。
「終わりにしましょうって言ったじゃないですか」
「だからですよ」
 入り込んできた彼に抱きしめられる。
「もう終わりにしたんでしょう?無理なあなたは。本当のあなたを迎えにきたんです」
 回された腕の優しさに目が熱くなる。全部分かっていて、俺を待っててくれたのだ。
 本当の自分であなたと向き合いたい。格好悪くて失望させるかもしれないけど、今なら伝えられる。



お題:書き出しと終わり
shindanmaker/801664
2022/11/19(土) 13:23 お題もの COMMENT(0)
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