◆各種設定ごった煮注意
解説があるものは先にご確認ください
そうかなあとは思った。けど目の前の一例はあまりにも幼く、到底自分に重ねることなど出来なかったので確信を持てない。頼みの友人はいつの間にかくっついていた為その詳細を知ることも無く、ふわふわと未確定のまま時間だけは流れた。そんな中、一人の少女の姿を知る。見知っていた例とは違う姿と無謀とも言える行動を聞き、やっぱり自分もそうなのだと確信を得た。だから、自分は初めての感情に恋という名をつけたのだ。
未知の感情はまだゴールも分からず、ただ親しくなりたいという一心で一楽へ誘った。彼が、好きだと知っていたから。二人で食べたラーメンの味も会話もほとんど覚えてない。戦闘以外で味わう緊張は何年ぶりかと、そんなくだらないことばかりが頭を回って、気づいたら二人で夜道を歩いていた。終わったのだという実感が急に押し寄せて、気がついた時にはポロリと口から溢れていた一言。あれが、俺の本心でゴールだと思う。
「また、一緒にラーメンを食べたい。あなたとずっと一緒にラーメンを食べたい」
目を伏せた先生は何も言わず、沈黙の中ふたりで夜道を進む。あっという間に彼のアパートへ到着して、階段を上る姿を見送った。俺はあそこへ上がれない。
上りきった先生が振り返ったのでじゃあと手を上げたら、ふっと笑った先生はおやすみの代わりに一つ頷いた。
「分かりました」
何を? と確かめる間もなく背中を向けられて、先生はドアの向こうに消えた。
あの言葉の意味を聞きたいと思ったけれど、世の中の流れは激しく、思うだけの日々が続いた。顔繋ぎだけは忘れまい、本音は一瞬でも顔が見たいという欲に突き動かされて、里にいる間は必ず彼を探す。言葉を交わせたらラッキー、遠目がほとんどなんて毎日に、いつの間にか信じられないほどの時間が流れていた。
今、新たな場へ立つことになり、久しぶりの余裕をもらえた。また忙しくなるだろうけど、一瞬の息抜きに里を歩く。とうに陽の落ちた里は行き交う人の姿もなく静かだったが、見慣れた暖簾は明るく光っている。ひらりと翻った暖簾の奥に、幾度となく思い浮かべた横顔が見えた気がした。真っ直ぐ進む足はほんの少しの躊躇いもなく、暖簾を潜った先に、
「こんばんは。お疲れさまです」
あの人が座っていた。
数年振りに二人で歩いている。同じ、一楽からの帰り道。俺が食べている間に帰ってしまうのではないかと焦ったが、先に食べ終わった先生は水の入ったコップを片手にぼつぼつと話をしてくれた。ごちそうさまと手を合わせて、一緒に席を立つ。まるでもう一度あの日を繰り返してるみたいだった。
あの時は、どうして一楽にしたのだと後悔していた。飲みに誘えばもっと長い時間一緒にいられたし、色んな話を聞けただろう。でも、彼の好きなものを一緒に食べたいとしか思わなかった。時間をかければ大丈夫だと信じていて。次があると安易に考えていたが、だいぶ時間がかかってしまった。本当に、長い時間が。辿り着くまでは長くてもその先は一瞬で、もう別れの時間だ。
「送って頂いてすみません。お疲れでしょうに」
「いえ」
言葉を探す唇がもごもごと動く。あの時の言葉を覚えていますか。そう言い出したいけれど、覚えているのは俺だけかもしれない。足元をうろつく視線を掬うように、手が上げられる。ぴたりと頬に当てられた手に目を取られていると、目の前に影が差した。
「え⋯⋯あの
「違いました?」
「いや、でも」
すりすりと口布を撫でた先生が笑う。
「一緒にいられなくても、いつも見ててくれたでしょう。だから俺も、ちゃんと待ってましたよ。迎えに来たのでは?」
「じゃあ、俺達」
話を聞かずに逃げ出した先生が階段を上ってゆく。言いかけた言葉を飲み込んで見上げたら、ドアを開けた先生が人差し指を立てた。俺は数年越しの階段を勢い良く駆け上った。
2020/12/13
未知の感情はまだゴールも分からず、ただ親しくなりたいという一心で一楽へ誘った。彼が、好きだと知っていたから。二人で食べたラーメンの味も会話もほとんど覚えてない。戦闘以外で味わう緊張は何年ぶりかと、そんなくだらないことばかりが頭を回って、気づいたら二人で夜道を歩いていた。終わったのだという実感が急に押し寄せて、気がついた時にはポロリと口から溢れていた一言。あれが、俺の本心でゴールだと思う。
「また、一緒にラーメンを食べたい。あなたとずっと一緒にラーメンを食べたい」
目を伏せた先生は何も言わず、沈黙の中ふたりで夜道を進む。あっという間に彼のアパートへ到着して、階段を上る姿を見送った。俺はあそこへ上がれない。
上りきった先生が振り返ったのでじゃあと手を上げたら、ふっと笑った先生はおやすみの代わりに一つ頷いた。
「分かりました」
何を? と確かめる間もなく背中を向けられて、先生はドアの向こうに消えた。
あの言葉の意味を聞きたいと思ったけれど、世の中の流れは激しく、思うだけの日々が続いた。顔繋ぎだけは忘れまい、本音は一瞬でも顔が見たいという欲に突き動かされて、里にいる間は必ず彼を探す。言葉を交わせたらラッキー、遠目がほとんどなんて毎日に、いつの間にか信じられないほどの時間が流れていた。
今、新たな場へ立つことになり、久しぶりの余裕をもらえた。また忙しくなるだろうけど、一瞬の息抜きに里を歩く。とうに陽の落ちた里は行き交う人の姿もなく静かだったが、見慣れた暖簾は明るく光っている。ひらりと翻った暖簾の奥に、幾度となく思い浮かべた横顔が見えた気がした。真っ直ぐ進む足はほんの少しの躊躇いもなく、暖簾を潜った先に、
「こんばんは。お疲れさまです」
あの人が座っていた。
数年振りに二人で歩いている。同じ、一楽からの帰り道。俺が食べている間に帰ってしまうのではないかと焦ったが、先に食べ終わった先生は水の入ったコップを片手にぼつぼつと話をしてくれた。ごちそうさまと手を合わせて、一緒に席を立つ。まるでもう一度あの日を繰り返してるみたいだった。
あの時は、どうして一楽にしたのだと後悔していた。飲みに誘えばもっと長い時間一緒にいられたし、色んな話を聞けただろう。でも、彼の好きなものを一緒に食べたいとしか思わなかった。時間をかければ大丈夫だと信じていて。次があると安易に考えていたが、だいぶ時間がかかってしまった。本当に、長い時間が。辿り着くまでは長くてもその先は一瞬で、もう別れの時間だ。
「送って頂いてすみません。お疲れでしょうに」
「いえ」
言葉を探す唇がもごもごと動く。あの時の言葉を覚えていますか。そう言い出したいけれど、覚えているのは俺だけかもしれない。足元をうろつく視線を掬うように、手が上げられる。ぴたりと頬に当てられた手に目を取られていると、目の前に影が差した。
「え⋯⋯あの
「違いました?」
「いや、でも」
すりすりと口布を撫でた先生が笑う。
「一緒にいられなくても、いつも見ててくれたでしょう。だから俺も、ちゃんと待ってましたよ。迎えに来たのでは?」
「じゃあ、俺達」
話を聞かずに逃げ出した先生が階段を上ってゆく。言いかけた言葉を飲み込んで見上げたら、ドアを開けた先生が人差し指を立てた。俺は数年越しの階段を勢い良く駆け上った。
2020/12/13
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